走快あらかると:トピックス2000 金沢中央走ろう会/編集長レポート

天野代表、第13回ランナーズ賞を受賞
第13回ランナーズ賞の表彰式が12月16日(土)、都市センターホテルで行われました。「ランナーズ賞」は、人々に走る喜びや幸せを分け与え、市民ランニングの普及、発展に貢献した人、もの、団体などに贈られる。表彰者は4名と1団体です。

 2000 RUNNERS AWARD 第13回ランナーズ賞 ランナーズ賞
イベント・クラブを通じ、地域の健康ラン、生涯ランの普及に尽力
天野耕兵衛さん(てんの・こうへい)

1920年金沢市生まれ、79歳。長年勤めた中学教師から50歳の時に教育委員会への転勤を機にランニングを開始。走る爽快感、楽しみをみんなに伝えるために75年金沢中央走ろう会創設。さらにより広範囲にランニングを伝えるために数多くのランニングクラブを開設していった。60歳定年後はさらに主婦向け、勤労者向けのジョギング教室を開始。生涯スポーツの普及活動を広げている。自身もホノルルマラソン連続20回出場の現役ランナー。
天野耕兵衛さん
生涯スポーツの大切さを伝え続けてきた天野さん
 金沢中央走ろう会の創立者であり代表の天野耕兵衛さんがランニングを開始したのは50歳の時。長年勤めた中学校教員から教育委員会体育課に転勤になってから。学校では地理の教員だったが、赴任した小学校には体育教師がおらず、年が最も若かったことから天野さんが体育を教えることになった。それ以降、子供と一緒に身体を動かしていたが、次第にウエストが多少気になってきてはいた。それが転勤先では全くのデスクワーク。体調は目に見えて悪くなった。県民の健康管理をする職務なのに自分が不健康ではいけないと、走り出した。75年に金沢中央走ろう会を創設、現在会員数は130人を数える。市民にもオープンにしている10時間リレーマラソンや健民トリムマラソンなどのイベントのほか年2回の「健康体力づくり講座」も開催し、生涯スポーツの重要性を伝える。さらに初心者、高齢者、女性向けに「金沢ランニングクラブ」「金沢レディスジョギングクラブ」「高齢者ジョギングクラブ」などの会を次々に設立、毎週朝夕に定期的にジョギング講習会を開くなど、週5日予定が入る。ハガキで走行距離や体調を申告する、ユニークな通信制のランニングクラブも行う。八面六臂の活躍だ。10代から20歳くらいまで、栄養失調や結核、腸チフスなどで身体を壊し健康のありがたみを身にしみて感じた原体験がある。体力が落ち、10cmの段差を上がれなくなったこともあった。 「ご飯は毎日食べる、毎日寝る。なのになぜ運動を毎日やらないのか、というのが私の考え方。人類の歴史は長いこと食べるために歩いたり走ったりしてきました。動かなければ死んでしまうからです。今、食べたいものはお金を出せば手に入りますが身体は動かさない。その結果生活習慣病にかかってしまう。それを防ぐためには月1回のゴルフではなくて、毎日行う、競わない軽度の有酸素運動が有効なのです」体力づくりは40歳、遅くても50歳から始めるべきと言う。体力のピークが過ぎ、それまでの貯金がなくなるからだ。毎日運動することの効果は如実。走ろう会のメンバーは定期的に体力測定を行っているが、多くが実年齢よりも10歳ほど若い。中には90歳でホノルルマラソンに出場している人もいる。マラソン参加やスポーツ視察で海外各地に出かけることも多かった。例えばアメリカの保健体育は子供たちが楽しくなるような教科書を使い、自分で健康づくりを考える教育がなされている。教師も健康づくりのためにスポーツを行うという。 「価値観が違うのですね。日本ではスポーツは勝ち負け重視、見るもの。一方アメリカでは自分が取り組むもの。みんながスポーツのできる環境が整っています。健康のために一生涯続けていくようなスポーツが大切なんです。そのためにはもちろん日本の教師が行い、生徒に見せること。また学校の授業だけでない運動の場も必要です。ニューヨーク・シティマラソンのような大会も、そんな下地があって初めて実現できるのですね」根っからの「教育者」でもある。

 2000 RUNNERS AWARD 第13回ランナーズ賞受賞者表彰式 ランナーズ賞 
平成12年12月16日(土)都市センターホテル
左から高石ともや、天野耕兵衛、藤本嘉信、馬杉次郎、武庫川スポーツクラブ(会長:高瀬実)=敬称略
 シドニー五輪女子マラソン・高橋尚子選手の優勝は、20世紀の最後を飾るにふさわしい、明るい出来事でした。日本全体が、「楽しんで走った結果の」金メダルに沸き、高橋選手の走る姿勢に共感し、マラソンという競技が注目を浴びたことは、ランニングの未来を予感させるものでした。 「走ることの喜び、すばらしさを伝える」。健康問題、社会的不安が取り沙汰される中で、ランニングの明るさ、健康さが今ほど必要とされている時はありません。13回目を迎えたランナーズ賞ですが、今回も地域で現場で、それぞれのステージで走る世界を伝え、支え、もり立てている、数多くの人たちを称え続けています。すぐそこまで来た21世紀が、全てのランナーにとっての希望にあふれた時代であることを願って止みません。
選考にあたって
 走る喜びや幸せを人々に分け与え、市民ランニングの普及、発展に貢献した人物、団体などを表彰する「ランナーズ賞」は、今回で13回目の開催となりました。受賞された1団体4氏は、それぞれの活動で多くの人々に走る喜びや感動を与え、市民ランニングの普及、発展にご尽力された方々です。高石ともやさんは、ランナーとしてミュージシャンとして、その歌声と笑顔と走る姿で多くのランナーを惹きつけてきました。天野耕兵衛さんは、金沢中央走ろう会の代表として大会やジョギング教室の開催、健康づくり講座の開講など幅広い活動で、生涯スポーツの重要性を伝え続けてきました。藤本嘉信さんは、43年にわたり保善高校陸上部への情熱あふれる指導、生徒への人間教育に尽力されてきました。通算2200号を超える部報の発行は大変素晴らしいものです。馬杉次郎さんは、全国健称マラソン大阪支部長としての活動、大阪リバーサイドマラソンの創設、さらに90歳の現在も海外レースに参加する現役ランナーとして多くの人々に元気を与えています。武庫川スポーツクラブは、月1回のロード記録会を始め、ウルトラマラソンなどを独自に開催し、会員だけでなく幅広いランナーの参加を得るなどオープンな走友会としての活動が市民ランナーに支持されています。以上受賞された方々は、ランニングに関わっている全ての人々に強い励ましを与えていることと思います。これからも市民ランニングの発展に尽力されることを期待いたします。また受賞者の皆さまに心からお祝いを申し上げますとともに、今後のますますのご活躍をお祈り申し上げます。
2000年12月ランナーズ賞選考委員会 委員長 小野三嗣
【収録元WEBページ】http://www.runnet.co.jp/jouhou/Raward/2000.html

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