金沢中央走ろう会/ホノルルマラソン完走記録

市民ランナーが主役〜ホノルルマラソンを走る〜
金沢中央走ろう会代表 天野 耕兵衛
七時間ランナー・ゴールイン (5/5ページ)
 七時間ランナーが次々と帰る。閉会式では、年令別、ファミリーの部などの表彰が続いている。
 ゴール付近の特設の木柵はとり外された。ランナーは時をおいて次々と帰ってくる。応援の市民はまだ多い。
 双眼鏡をもった女子係員がランナーのゼッケン番号を確認し50m前方に近づくとアナウンスがある。
 「ハナコ・ヤマダ、ジロー・ヤマダ、ジャパン」小柄な日本の若者2人が睦じく手をとりあって笑顔一ぱいで走ってくる。新婚旅行中の夫婦であるのがすぐわかる。ひときわ大きな拍手やかん声があがる。彼らの生涯にもっとも記念すべき日になるであろうし、これからの人生をこの日のように協力し、励まし合って辛苦に耐えて生きてほしいと願う。
 片腕をなくした人が走ってくる。バランスをとることがむつかしいはずだが、よく走り通した。とくに大きな拍手がわく。
 片方の脚に障害があるため、大きくとび上るようにして走ってくる。よく頑張り通したものだ。障害をもつ人のことでいえば、車椅子の人たちも10人をこす人数の方が参加していたことがテレビで放送されたが、国際障害者年でもあるが、ハンディをもった人が積極的に参加されるのは大きな意義がある。
 ホノルルの女性が帰ってきた。よく見ると2人の子どもがつき添っている。家族連れかと思っているとゴールが近づくと子どもたちは離れて歩道へ上る。そして歩道を走る。お母さんランナーなのだ。やや太り気味の浅黒く日焼けした膚をしている。待ち受けた子どもたちが思わずかけ寄って伴走したものだ。母を思う子どもたちの心の中を思いジーンとくる。
 小学四年生ぐらいの子どもがお父さんに連れだってゴールインした。日本人である。
 自転車と車椅子の友人に伴走されてゴールインするランナーもいる。
 足に豆ができたのか、ズックの紐を結んで手に持ってぞうりばきでかけてくる若ものもいる。
 待ちうけた友だちが旗を押し立てて伴走してくる。OLはやや恥しそうにゴールヘ走る。
 もう8時間になるが立ち去ろうという気にならない。ランナーのドラマをみているような感動の深いシーンがつぎつぎと展開されるからである。
 8時間30分を越える頃、昨日、施設づくりをした軍隊が再び姿をあらわして解体工事をはじめる。それでもデジタル時計は動いている。ゴール付近の特設スタンドは市民で一ぱいである。ランナーの間隔はずっと長くなる。
 8時50分まで待ってまだ終了の合図はないがこれでホテルヘ帰ることにする。
 その日の最終ランナーは、日本の財津さん、85才で10時間45分であったとテレビニュースが伝えたという。
 財津さんのゴールまで係員がいただろうし、スタンドにも何人かの市民が心から大きな拍手を送ったはずである。
 ホノルル・マラソンは終った。

TVで録画放送
 その晩7時30分からTVでマラソンの録画が放送された。
 スタートからはじまり、はじめから終始トップのランナーを追う日本のマラソン放送とは違う。トップランナーが出るのはスタートと中間点あたりと、ゴールインだけ。あとは市民ランナーの走りぶりが中心である。
 スタートライン付近でのインタービュー、介護所でのボランティアの活動状況、途中の苦しいところでのインタビュー。歩き始めたり、苦しそうに足をのばしたりする姿をうつす。35ケ国よりの参加があるといわれているが、ある日本から参加した市民ランナーが「しんどいわ!!」と答えていた。
 特に医師にインタビューをしていたのは参考になった。マラソンの医学的な面からの価値を語るともいおうか。
 ホノルル・マラソンの主役は市民ランナーであるという印象が強い。

ホノルルマラソンに学ぶもの
 この大会から学ぶものが多い。それをまとめる。
@大会の参加者が8000名近くなのにトラブルやアクシデントが殆どない。スムーズに運営された。コンピューターの活用やビデオなどもよかった。
A介護所が15ケ所も設けられていて、給水が万全であり、高温にもかかわらず事故がなかった。
Bホノルル市民の心暖まる支援があった。とくに1500名余のボランティアの積極的な活動は感動的であった。
C行政の援助が大きい。通路の開放、軍隊の支援なども好ましいものである。
参加料は10ドルであるが、市当局からも相当の援助がないと運営できないのでないか。
D42・195kmを走ろうという人が8000名近くも参加したことだ。
ハワイの人は、「ジョギングは米本土より、ハワイの方がさかんである」と胸をはっていた。レースの翌朝も6時すぎ暗いワイキキの通りを走っていたランナーもあったほどだ。
E大会というよりお祭りのようである、みんな健康、体力つくりのために楽しんで走っている。日本の大会は勝敗第一主義でみんなぴりぴりした緊張感がただようものが多いのだが、ホノルルマラソンにはそれがない。

 参加料10ドルでこんな素晴しい大会ができるとは驚きである。
 早い時期に再び参加したいという気持がもう強い。

 一行の日程
12月10日(木) 中央公園発 13時30分
大阪空港発=パンナム 19時20分
ホノルル空港着 7時
ホノルル市内観光
パシフィク・ビーチ・ホテル 宿泊
12月11日(金) マラソンコース下見 9時〜11時
ポリネシア文化センター  14時〜21時
12月12日(土) 真珠湾アリゾナ記念館見学 8時〜11時
選手受付、ミーティング 2時〜5時
12月13日(日) ホノルルマラソン参加
 全員完走
12月14日(月) ハワイ島観光 7時〜19時
12月15日(火) ホノルル空港発 10時50分
12月16日(水) 大阪空港着 15時30分
金沢中央公園着 20時10分

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ホノルルマラソンを走る
印象的なセレモニー
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アロハタワースタート
万全の介護体制
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トップランナーたち
『ケンロクエンがんばれ!!』
スピードダウン30km
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ゴール目指して
閉会式付近の風景あれこれ
閉会式
『ジロー・マツシマ・ジャパン…』
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七時間ランナー・ゴールイン
TVで録画放送
ホノルルマラソンに学ぶもの
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機関誌『走快』1号掲載
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